ブログ飯【感想】最後に残るのは「人との違い・継続・好きな物への愛情」
こんにちは、ルレムラ(@luremura)です。
「ブログ飯」って本知ってますか?ブログをしている方なら知ってる!って方多いんじゃないでしょうか?
先日、そのブログ飯を読み終えましたので、感想を書きます。
ブログ飯の本書がコチラ。
- 「ブログ飯」著者、染谷 昌利さんってどんな人?
- 「ブログ飯」で、自分がなぜ「あの本」が好きなのかわかった
- 生み出している人のバックボーンに惹かれる
- 「諦める」とは「(その状態を)あきらかにする」ということ
- 「あなたから買いたいんです」と言ってもらいたくなった
「ブログ飯」著者、染谷 昌利さんってどんな人?
感想に行く前に著者の染谷 昌利さんについて解説をば。
株式会社MASH 代表取締役
1975年生まれ。埼玉県出身。12年間の会社員生活を経て、インターネット集客、GoogleAdSense、アフィリエイトの専門家として2009年に個人事業主として独立。7年間フリーランスとして活動し、2015年3月に株式会社MASHを設立。
現在はブログメディアの運営とともに、地方自治体や企業のウェブサイトのコンテンツ作成パートナー、パーソナルブランディングやネットショップなどのコンサルティング業務も行う。
(「Amazon著者についての詳細」より引用)
失礼ながら私、ブログ飯を読むまで、染谷さんを存じ上げておりませんでした。
で、まずですね、ブログ飯は「すぐに結果が出て収益が上がってお金持ちになれます!」的な、上澄みだけをすくったような本ではありません。
技術ではなく、もっと根底に入り込んだ内容が書かれています。
著者の染谷さんのサラリーマン時代の初期の頃は、いわゆるネット黎明期。今のようにネット検索して簡単に情報が入る時代ではありませんでした。
当然、ツイッターのようなSNSもなく、スマートフォンのスの字すら存在していなかった時代であります。
ちなみに、私自身の経験ですが、2000年代ごく初頭に、実際に自分でHTMLの参考書を買ってきて、サイトを立ち上げていたことがありました。
今では、そんな参考書を買ってこなくても、ネットに詳しい知識が載ってますし、誰でもブログを立ち上げられますよね。IT業界の日進月歩に驚くばかりです。
さて、そんなネットの黎明期、染谷さんは新卒で入社して、はじめてパソコンを触ることになります。
自分でもパソコンを購入し、夜な夜なパソコンいじりをしつつ、少しずつパソコンのスキルを高めていく染谷さん。
ブログ飯の中で、染谷さんは自分の好きな物、車、書評、レシピ、などを扱ったブログを開設→閉鎖を繰り返していきたことを書いています。
そりゃあもう、ブログ飯って言うだけあって、寝る間も惜しんでブログに没頭しちゃうわけですよ。
で、とにかく好きなものを突き詰めては自分で噛み砕き、ブログで発信していきます。その間も、ネットやIT業界の事も勉強し、知識や経験値を蓄え吸収していくのでした。
「ブログ飯」で、自分がなぜ「あの本」が好きなのかわかった
ブログ飯の中にはいくつかキーワードが出てきます。
で、とくに私が強く引っかかったのが、
「人との違い」「継続」「好きな物への愛情」
そして、「私にとっては当たり前の事でも、他人から見れば初めての話」というお話。
好きだったからこそ、偏向した愛情が文章に出て、訪問者の人に楽しんでもらえたのではないかと思います。
(「ブログ飯」本書より引用)
私はこの部分をですね、私の足りない頭なりに解釈しまして、「『専門家まで』でなくても、賢く売れるオタクなれ」ということかなぁと。
あと、ブログ飯をちょっと読み進めていて、自分の頭の中に浮かんだ本が何冊かありました。
それが、伊丹十三監督の「ヨーロッパ退屈日記」、三島由紀夫著の本、そしてこのブログのタイトル元ネタにもなっている谷崎潤一郎の「陰翳礼讃」 。
伊丹十三の「ヨーロッパ退屈日記」は、後で紹介する谷崎潤一郎に比べればポップな語り口調。
でも、伊丹さん独自の美学と見聞が随所に散りばめられていて、その独特の語り口調や視点に思わずニヤッとしてしまいます。
三島由紀夫著は、その心理描写と情景描写が緻密過ぎてクラクラ。常人には真似できない文章。
なんかもう三島由紀夫の文章って、職人が下ごしらえからめちゃめちゃ丁寧に作った料理やら緻密に折られた折り紙!って勝手に思っているんですが、どうでしょう?
谷崎潤一郎の「陰翳礼讃」は、学生時代習った方も多いんじゃないでしょうか。私もそのひとり。学生時代、現文の教科書に掲載されていた陰翳礼讃に衝撃を受けました。
確か日本家屋に見る陰翳の美しさを描いた内容だったと思うんですが、谷崎潤一郎の手にかかれば普通の人が見逃してしまうただの物や光景が、独自の価値に仕上がる。
この3冊、「ああ、こんな視点があったのか」と感心させられるような、著者独自の美学やこだわりがこれでもか!と、なんかもう呆れるくらい熱を込めて語られているんですが、皆さん(いい意味で)立派なオタク。
なんかこう、「普通」が「別世界の特別な物」になってしまっているんです。
私はですね、なんでこれらの本が好きなのか、今回ブログ飯を読んでてようやく気付かされたわけです。
彼らの持つ独自の美学や視点が、私が持っていない部分なわけでありまして。非常に魅力的に映っているのですね。
たとえば、それほど欲しくなかったのに、レビューを読んでたらすごく魅力的に映って買っちゃった!通販番組に電話しちゃった!なんてことありませんか?まさしくその原理なんですよ。
私が好きなブロガーさんと照らし合わせて考えてみると、この点に秀でているブロガーさんが多いんですよ。人の心を動かすのがうまい。
とても興味があったわけでもない、あるいはどちらを買うべきか悩んでいるとき、個人のブログ記事を読んで「欲しい!買おう!」「真似しよう!」と、思わず心が動いてしまうんです。
それを再現できちゃう方って、ブロガーとして本能的に成り立っているんじゃないでしょうか(羨ましい)。
生み出している人のバックボーンに惹かれる
と言いましても、財布の紐は固いものです。上澄みだけすく救った文章はすぐにわかりますよね。
ブログ飯の中ではこんなふうに書かれています。
(中略)
それでは実際にお金を出して買おうかどうか迷っている人の心を動かすことはできません。
実際に自分で買ってみるからこそ、なぜその商品をえらんだのか、なぜお金を出してまでその商品を買ったのかという説明ができるのです。
買うまでに生じた迷いや葛藤まで含めて紹介するからこそ、その商品に対して興味を持っている読者の関心を引き、共感してもらえる文章を書くことができるのです。
(「ブログ飯」本書より引用)
実際、私がブログを読んでいたり、芸術作品、音楽や本、漫画で一番魅力を感じる時って、生み出している人のバックボーンを感じたときなんですよ。
その人の生き様や信条、人生観が見えたとき、その人の歩いてきた道にグッと引き込まれる。
俳優さんとかアーティストと呼ばれる方って、若さの輝きや、才能だけで惹きつけられることもできますが、最終的に深みに達することができる方って、人生経験から得られた生き様が左右すると思います。
生き様が表情や姿勢、作品に無意識に表れてしまう。編集や補正、修正だけではどうにもならない部分です。
ブログ飯では、それを上記の引用部分で書かれていますが、実際、染谷さんがブログで収益を上げるまでは、ドラマティックでかなりの説得力がある。
読者としては、「これだけやってきた人が言うのだから、そうなのだろうな」と思ってしまいます。
「諦める」とは「(その状態を)あきらかにする」ということ
さてさて、そんな染谷さん、「ブログで飯食っていく」と決めて12年間の勤め人生活に終止符を打つわけですが、なかなか思ったような収益が上がらず、窮地に立たされます。
が、土壇場で息を吹き返し、逆転劇のように成功していきます。
ブログ飯の最後の方には、そばで一部始終を見ていた奥さんの文章が掲載されていたのですが、これが全てを物語っていて面白い。
北条政子とかビクトリア・ベッカムのような、いわゆる鬼嫁なのですが、染谷さんが「会社を辞める!」といったときも、不安を感じたことはなかったようで、かなり肝っ玉の据わった方。
奥様曰く、
(中略)
私は禅や瞑想が趣味で、その中に「諦めた瞬間、豊かさが入ってくる」という教えがあります。開き直りというのは、ある種の「覚悟」だと思います。
追い詰められたり腹を括ると、人知を超えた大きな力が働くのかもしれません。
(「ブログ飯」本書より引用)
「諦める」って、「(その状態を)明らかにする(あきらかにする)」と、語源が同じだと聞いたことがあります。
ブログ飯の中で、染谷さんは「もう本当にダメだ」と思ったとき、事態が好転し始めて急に軌道に乗り始めます。積み上げてきたものが急に報われるように。
よく「あいつは運が良かったから成功した」と聞きますが、「運も実力の内」という言葉もあるように、積み上げてきたものがなければ軌道に乗れないし、いざという時最高のパフォーマンスもできません。
一概には言えないんですが、染谷さんの成功するまでの流れって、けっこう神がかり的なので、神様なり仏様が見てくれていたのではないかと私は思うんですよ。
一生懸命がんばっている染谷さんを見て、見えない何かが追い風を送ってくれたんじゃなかろうか。
こんな人事で計り知れない事を、ブログ本の感想で書いていいのか悩んだんですが、おもしろいこに、ブログ飯の中でもやたらと「不思議」って言葉が出てくるんですよ。調べてみたら11か所ありました(笑)。
染谷さんも、なんとなく気付いているんじゃないかなと思ってみたり。
「あなたから買いたいんです」と言ってもらいたくなった
技術を売ることは誰にでもできるけど、「あなたから買いたいんです」と思ってもらうのって、理屈じゃない。
会ったときににじみ出るその人の人間性や生き様。人は、思った以上にちゃんと嗅ぎ分けている。
ああ、私はブログ飯を読んでいて、もっと人間味あふれるオタクになりたいと思いましたよ…。
ここまで読んでいただいて、ありがとうございました!
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